オーナーサイドから見た 店舗 空室対策 としての 防音スタジオ 事例

今回はオーナーサイドから見た 店舗 空室対策 の 具体的な相談事例 です。

解決すべき課題は、空室が続いていた1F店舗をテナント募集するというものです。

店舗として募集するための最大の問題点は次の通りです。

①構造用で移動できない 鉄製の筋交い が二か所、店舗レイアウト上、障害となる位置に存在していました。

②この店舗は駅から徒歩で約10分かかり、しかも住宅街の中にあります。大通りから店舗入口が裏側にあり、看板が見えません。

③通常店舗として利用する場合は、天井高3000mmで設計されます。この店舗は有効な天井高が2300mmしかありませんでした。

店舗として使用するには、あまりに不利な条件が揃っていました。

そのままでは倉庫として利用するしかありません。

倉庫として貸し出した場合は、期待される賃料は予定していたよりもはるかに低くなります。

そこで、インフォレントでは 防音工事 をして プライベート音楽スタジオ として利用する提案をしました。

天井高が低いことは、施工上、かなり不利となりますが、何事もチャレンジです。

また構造も 鉄骨ALC造 でALCの厚みも50mmしかありません。RC造と比べれば、音の伝播からみればスカスカなのです。

防音下地の良し悪しで性能はかなり差が出ます。相当、防音下地を丁寧に作らないと実用に耐えません。

不利な条件はいくつもありましたが、

このまま放置していても何も解決できないのでやってみましょう!

というオーナーの強い決意が、企画を現実に進める重要な役割を果たしました。

選択肢は前に進むしか方法が無かったのですが、実際には勇気と決断がいることだと思います。

施工方法について、レイアウトについて、募集方法について、予算について、検討課題が次々に整理されて行きます。

レイアウトは筋交いの壁を囲むように3つのスタジオを入れることになりました。

施工費は3つのスタジオと共用リビング、トイレ洗面などの水回り、衛生工事、電気工事で合計、約1000万円と試算されました。

募集方法は、 音部屋ドットコム で告知し、入居希望者を募ることにしました。

気になる投資効率、投資回収の検討です。

何もしない場合 倉庫としての査定賃料10万円(@5000円)×12カ月=年間120万円・・・A

スタジオにした場合 スタジオとしての査定賃料27万円(@13500円)×12カ月=年間324万円・・・B

B:312万円-A120万円/初期投資1000万円=204万円/1000万円=20.4%です。

つまり約5年で投資回収できる計算になります。

この有効利用計画の最大の魅力は維持するための人件費がほとんどかからないということです。

定期的な清掃費と電気水道代の検針、家賃回収のみです。

保険としてインフォレントでの借り上げをすることを条件に、この店舗の有効利用計画はオーナーに承認されました。

いよいよ着工です。

作業全体の工程表が作成されます。期間は約7週間です。

石膏ボードを剥がし、内部にロックウールを充填していきます。

これを入れないと中でエコーが起こり、音が大きくなってしまいます。

また結露の原因にもなり、後でカビが生える原因になります。

 

ボードを再び貼り、墨出しをし、間仕切り工事(軸組)をしていきます。

※軸組は天井や防火規制がある場合はLGSで組みます。

床レベルを決定し建具位置を決めます。制振材を配置していきます。

壁1面に隙間なく遮音シートを貼っていきます。壁用制振材を配置していきます。

壁用制振材の間には壁用ロックウールを詰めていきます。

ロックウールはグラスウールより中低音での吸音性能はかなり高くなります。もちろん値段も高いです・・・。

続いて天井の防音下地工事を行い、天井仕上げをしていきます。

天井には岩綿吸音板を使います。ここでは、吸音性能の高いものを採用しました。

岩綿吸音板は反響音を適度に調整するもので、人の話し声などが聞こえやすくなる効果があります。

建具の取り付けも完了しました。ここでの建具は木製防音ドア▲35db、定価15万円を使っています。

 

ちなみにインフォレントでは 鋼製防音ドア も工務店さん向けに販売しています。

こちらは▲45dbで定価35万円、卸価格25万円です。

防音ドアは出荷数が少なく非常に高価なものです。

同性能の鋼製防音ドアの価格を調べてみるとわかると思いますが、

安いものでも65万円ほどします。

音楽スタジオの一般的な施工相場は、音響スタジオで今回の工事総額の約2~3倍、

1スタジオで700~1000万円位かかるのが通常です。

賃貸では採算が合いにくいので、インフォレントではいくつものコストダウンの為の研究と工夫をしています。

ドアは二重で構成されています。高くて性能の良い防音ドア1枚と安くて性能が少し低い防音ドアだったら後者を2枚使うことをお勧めします。サッシも同じです。尚、2枚のドアの空間はできるだけ大きく取った方が性能は高くなります。

 

水回りもつけました。

内装はほぼ完成です。床は防音タイルカーペットで仕上げました。壁は有孔合板で仕上げました。

換気ダクトにはサイレンサーを付けます。特注で市販品と比べるとかなり音を消音してくれます。

エアコンは換気ができる高性能なタイプのものを使っています。ちなみに値段も高いです。

 

JIS方式で性能検査です。ピンクノイズという合成音で検査します。

予定していた性能が出ていない場合は、この状態からでも壁を作り直します。

結果が出るまでやる。それがインフォレントのポリシーです。

音響測定装置だけでなく生音での検査も実施します。

さて、外の看板もできました。スチール製で仕上げました。ここに文字を入れます。

文字が入りました。クリスタル製の名板で作成しました。

設計施工チームによる施工完了です。記念撮影です。

 

店舗 空室対策

オーナーとも記念撮影です。

テナント募集も無事完了しました。オーナーと成功を祝って乾杯!

お元気様です。おかげさまでいい仕事ができました。

こうして、この店舗の有効活用、空室対策はハッピーエンドで終了しました。

ご利用いただきありがとうございました。

インフォレントでは空室対策としてのスタジオ利用をご提案しています。

設計、部材、施工、テナント募集とカバー範囲が広いので、個人オーナーはもとより、いろいろな不動産会社、工務店、設計会社さんと役割分担ができます。一つでも多くのスタジオをエンドユーザーに届けたい、そんな願いを胸にお声掛けを今日も待っています。

 

株式会社 インフォレント

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